yururi-furu’s blog

ゆるりと続けるフルコミ営業

なぜ桜でハモる?(私たちは桜です②/④(不動産百話③))

 

挨拶を済ませるとご主人が、

「真っ白で何もないでしょう。」

「モデルルームよりシンプルにしている

んです」

「これがライフスタイルなんですよ」

 

そして二人で、

「私たちは桜なんです」

 

(なぜハモる・・・・)

僕は、来てはいけない世界に迷いこんで

しまったようです。

 

ちょっとあっけにとられていると、二人

はまるで予想していたように、落ち着い

たまま微笑んでいる。

(あなたがそんな顔をするのを、私たち

は既に分かっていましたよ)みたいな。

 

気になることがもう一つ。目線が僕より

常に先にある。

目を合わせながら、僕を見ていない。

 

訳が分からないので素直に、

「どういう事ですか?」と聞いてみる。

 

ご主人が、

「センバさん。いま私たちの住んでいる

マンションの 301号室が売りに出て

いることを知っていますか」

 

(知ってるよ、不動産屋だもの)

「4800万円で出ていますね。先週売

りに出たばかりです」と答える。

 

まだ東京の新築マンションの分譲価格が

5000万円ぐらいのころです。

それにしても不思議なのは、ひとつ上の

階への買い替え希望。

間取りも同じですし、日当たりもあまり

変わらなそう。

 

買い替えるには、お金がかかります。

仲介手数料。契約印紙代。登録免許税と

司法書士費用。引っ越し代などなど。

中古を買うから、リフォームもするはず

です。

けっこうな金額がかかる。

そこまでかけて上の階に買い替える理由

が分からない。

 

さっきした質問には答えてくれなくて微

笑んでいただけなので、もう一度聞いて

みます。

「お二人が桜って、どういう意味なんで

しょうか」

 

ご主人が、

「センバさんは、桜ってどういうものだ

と思います」

 

(人の話を聞いているのか?)

(なぜ質問に対して質問で返す?)

 

奥さんが、

「桜って、はかないですよね」

 

ご主人、

「そこが美しい!だから私たちはそれに

あこがれるんです。桜になりたい」

 

(なぜ、なぜ質問から、自分たちの想い

を一方的に語りはじめる?)

 

 

決して悪い人ではないけれど、やや自意

識過剰ぎみで超マイペースな夫婦との会

話は、続いていきました。