最初に「答え」を書きます。
一番伝えたいことは、この病気になった
としても、すぐに亡くなったりすること
は少ないこと。病気になってからよほど
時間がたって病院に行くなんかの、手遅
れにならない限りは、対処できる可能性
がかなりあると思います。
だから泣かないでほしい。
僕たちもそうだったけれど、たぶん病名
を告げられたときは何も知らないために
不安で、焦り、絶望し、先のことが考え
られなくなり、「死」を身近に感じてし
まう。
仕事を長く休まなければならなく、とき
には辞めなければいけないこともある。
今までと違う日常が待っている。だけど
最悪でも「生きていれば」何とかなる。
そして、大体の人は何とかなっている。
決して「絶望」しないで。
それから、「二つの後悔」。
一つは、子どもたちが白血球の型の検査
を希望したのに受けさせなかったこと。
子供たちは親の白血球を受け継いでいる
から、必要な 6個の型のうち 3個は合う
はず。だからもしかしたら、4個や5個
が合致する可能性もあった。確率は低く
なるけれども、6個全部が合う可能性さ
えあった。
骨髄移植しか知らなかった僕と妻は、ド
ナーになった場合の後遺症のことが心配
で、まだ 20代の子どもたちに、ドナー
になってほしいとは思わなかった。特に
妻は、自分のために子どもたちの将来が
脅かされる可能性があるのには絶対に反
対で、もしも白血球の型が 6個全部合っ
たとしても、移植を拒むと言って譲らな
い。それを説得できるだけの「覚悟」が
僕には足りなくて、可能性にチャレンジ
することをしなかった。
二つ目の後悔は、移植の方法。
治療や移植に関する知識も無く、もっと
も患者にリスクや負担が少ない「臍帯血
移植」を選択したこと。
病院側がこれを勧めるのは当然で、総合
的に判断するとこれしかない。だけどこ
の移植で治る可能性は、80~90%。
他の移植のほうが治る可能性が高いのを
知らなかった。
人の命がかかるときに、100%に近い
成功確率でない治療を選んだことで、妻
を苦しめてしまった。